Administrative Scrivener Act行政書士法改正

令和8年1月施行 行政書士法改正と実務への影響

法改正の核心:「報酬を得て」の明確化

令和8年1月1日に施行される改正行政書士法では、第19条第1項の業務制限規定がより明確にされました。

具体的には、行政書士でない者が「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」官公署に提出する書類の作成等を業とすることができない、という文言が加えられました。

これまで「コンサルティング料」「申請サポート費」「手数料」などの名目で、実質的に無資格者が申請書類の作成を代行していたケースがありました。今回の改正により、これらの行為が明確に法違反となる可能性が高まります。

この改正は、許認可申請における国民の権利利益を保護し、手続きの適正化を図ることを目的としています。これにより、これまでグレーゾーンとされてきた多くの業務が、今後は行政書士の独占業務であることが徹底されることになります。


【指導例】消防関連手続きの取り扱い

消防庁からの通知

法改正に先立ち、消防庁は令和7年2月25日付(消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について(通知))の通知で、消防法令に基づく各種届出書類の作成が行政書士の業務であることを明確化しました。

消防法令に基づく各種手続(火災予防、危険物保安及び石油コンビナート等の保安の各分野における手続をいう。)においても、行政書士等でない者が防火対象物の関係者等に代わって提出書類の作成を行うことは、行政書士法違反に該当する可能性があります。

これは、消防設備業者や防火管理点検業者などが、点検業務の一環として消防計画の作成や各種届出を「サービス」として行っていた実態に対するものです。この通知により、報酬が発生している場合は行政書士法に抵触するとの解釈が示されました。

今後、各消防署の窓口では、申請者が本人または正当な代理人(行政書士)であるかの確認が厳格化されることが予想されます。

対象となる主な手続き

報酬を得て以下の書類作成を代行する場合、行政書士でなければ行うことができません。

手続き名 概要
防火対象物使用開始届 店舗や事業所の使用を開始する際に、管轄の消防署へ届け出る書類。
消防計画作成(変更)届 火災予防、消火活動、避難訓練などについて定めた計画書。
防火・防災管理者選任(解任)届 一定規模以上の建物で必要となる防火・防災管理者の選任・解任を届け出る書類。
危険物貯蔵所・取扱所設置許可申請 ガソリンスタンドや化学薬品工場など、危険物を貯蔵・取り扱う施設の設置許可申請。

今後影響を受ける主な許認可業務

下記業務には、法改正適用前でも明確に法違反とされているものもありますが、令和8年1月の法改正により、消防関連以外にも、これまで業者による代行が慣例的に行われてきた以下の業務などでも影響が考えられます。

道路運送・自動車関連

自動車ディーラーや運送会社、中古車販売店などが「登録手数料」や「代行費用」といった名目で報酬を得て行っていた申請が、規制の対象となります。

  • 自動車登録申請(新規、移転、変更)
  • 車庫証明申請(自動車保管場所証明申請)
  • 特殊車両通行許可申請
  • 道路使用許可申請

建設業関連

建設業者が元請・下請間の書類作成をサポートする場合や、コンサルタントが申請を代行する場合に影響が及びます。

  • 建設業許可申請(新規・更新・業種追加)※
  • 経営事項審査申請
  • 開発許可申請

その他

他業種の専門家(コンサルタント、金融機関など)が、主業務に付随して行っていた申請代行も対象となります。

  • 農地転用許可申請
  • 補助金・助成金申請
  • 古物商許可申請

まとめ

今回の行政書士法改正は、特定の業種に大きな影響を与えるものです。これまで慣例として許容されてきた無資格者による申請代行も、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」行われる場合は、明確に法律違反と判断されるリスクが高まります。

許認可申請を依頼する事業者側も、コンプライアンスの観点から、依頼先が正当な資格を持つ行政書士であるかを確認することが、これまで以上に重要になると言えるでしょう。

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