arela自動車リサイクル法
許可基準等と標準作業書
Act on Recycling of End-of-Life Automobiles説明
自動車リサイクル法の許可要件に関して、標準作業書に記載する内容を中心にご説明します。
自動車リサイクル法の目的は、廃棄物の適正な処理と資源の有効活用です。廃棄物を適正に処理することにより周辺住民の生活環境を保全します。あわせて業を的確に、継続して行うことができることを、標準作業書その他書面に記載する必要があります。
使用済自動車の保管場所や、燃料抜き取り場所、解体作業上などの床については、鉄筋コンクリート舗装の厚さが15cm以上あり、適切な配筋を備える必要があります。 床面が鉄筋コンクリート舗装等でない場合は、同等の以上の効果を有するものとして、厚さ15cmの無筋コンクリート舗装を厚さ10mmの鉄板で覆っている場合や、厚さ15cmのアスファルト舗装を厚さ10mmの鉄板で覆うなどの措置に代えることができます。
いずれも、廃油・廃液の地面への漏出・浸透を防ぐことが目的です。使用済自動車又は解体自動車の保管場所は、外部からの人の侵入の防止及び保管区域の明確化が必要です。外部からの目隠しや見栄えの良さを意図したものではないので、その材質には特に制限はありません。
人が容易に侵入できないものという見地から、ブロック塀、金属板、ネットフェンス、トタンなどが適当とされています。 使用済自動車の荷重が直接囲いにかかる構造である場合は、風圧力、地震力等のほか、使用済自動車の荷重に対して構造耐力上安全で、かつ、変形や損壊のおそれのないものであることが必要であるため、一般的には、金網フェンスやトタンフェンスは不適当です。
囲いの出入口には、人が容易に侵入できないようにするため、施錠できる門扉を設置することが望ましいとされます。なお、出入口の施錠については、容易に他人が取り外せるようなものでなければOKです。 事業所全体が外部からの侵入を防止できる囲い等で囲まれている場合は、使用済自動車等の保管場所の周りにそれとは別に囲いを設ける必要はなく、区域が明確にされたものであればよいとされています。
囲いの高さについては、人間の身長等を考慮して決定されますが、自治体により異なる場合もあるので詳細は各自治体にご確認ください。使用済自動車保管場所や解体作業場には、油水分離装置と接続された排水溝の設置が必要です。
油水分離槽は一般的には3槽以上がのぞましいとされています。屋根のない場合の油水分離槽4槽以上、滞留時間、2時間以上が推奨されています。屋根がない場合、油液類の油水分離装置への流入を最小限に抑えるため、あらかじめ燃料や廃油・廃液を抜き取っておき、降雨時の解体作業に備える必要があります。また、降雨時には、燃料、廃油、廃液等は抜き取らず、車の引取り、部品の整理等他の業務を行うよう配慮する必要もあります。
油水分離装置の機能を十分に発揮させるため、手順を標準作業書に記載し、それに則って適正に管理しなければなりません。
燃料抜取場所には、に排水溝及びそれに接続したため桝が必要です。上記油水分離槽等を備えた解体作業場で抜き取りを行うことも可能です。この場合解体作業場の排水を処理するために設けた油水分離装置と共用となります。 燃料抜取場所に屋根等が設置されていない場合はそこに降る雨水の量も勘案して油水分離装置の能力を定める必要があります。車両の輸送に使用できる手段は以下のとおりです。
- 自力走行可能な車両でこれを運転して運搬
- キャリアカー、セルフローダーなど車両輸送専用車を使用
- クレーン付き平ボディのトラックを使用
- 廃油・廃液の漏出及びそのおそれがない場合はレッカー車での運搬又は牽引
床面の一部が網状になっている荷台や、タイヤレーンが剥き出しになった荷台の車両輸送車での運搬は、 液体が漏れるおそれがあり使用できません
上記車両でも、漏出防止策として、クーラントやオイルのキャップ、各部位のドレンボルトの有無及び破損状況、 その他の箇所からの廃油・廃液等の漏出状況を確認する必要があります。
漏出のおそれがある場合は、ラップ やシール材による密封など漏出防止措置が必要です。
事故車など特に破損状態がひどく廃油・廃液の漏出が著しいものについては、積込場所において廃油・廃液の抜き取りを行います
使用済自動車、圧縮していない解体自動車を、野外において保管する場合は、以下によることとされています。 保管の高さは、
- 囲いから保管場所の側に3m以内の部分 について 高さ3mまで
- 囲いから保管場所の側に3mを超える部分 について 高さ4.5mまで
燃料抜き取り場所は、先に述べたとおり、燃料の地下浸透防止措置や流出防止措置が講じられていることが必要です。
ただし、保管に先立って使用済自動車から廃油及び廃液の抜き取り及び漏出防止措置が確実に行われることが標準作業書により明らかにされている場合はこの限りではありません。 燃料の抜き取り作業は、換気等の観点から地下浸透防止措置等が講じられた解体作業場ではなく屋外で行う場合もあるため屋根などの要件はありません
抜き取った燃料は、自家用車、フォークリフト等のタンクに移しかえて再利用する場合以外は、再資源化(再利用を含む)又は適正処理するまでの間、適切に保管します。解体作業場の要件としては、廃液を適正に抜き取ることができる装置を有するか、または適切な時間をかけ手作業により使用済自動車から廃油(燃料は除く)、廃液の抜き取りが確実に行われることが標準作業書により明らかにされている必要があります。 廃油、廃液の地下浸透措置として、床と油水分離槽等の条件があります。
雨水にともなって廃油、廃液が流出することのないよう、屋根覆いその他雨水が床面にかからないようにするための設備を有することも必要です。横殴りの雨でも侵入を防ぐことができる屋根及び壁等が設けられていることが求められます。
屋根等の設置が著しく困難であり、十分な能力を有する油水分離装置が設けられている等により降雨時でも外部への廃油、廃液の流出がない場合はこの限りでないとされますが、この要件は市街化調整区域で土地利用規制等により屋根等の設置が著しく困難な場合に限られ、経済的な理由によっては屋根等の設置が著しく困難とは認められないため注意が必要です。部品等の保管場所は、先に述べた床の廃油、廃液の地下浸透防止措置と、屋根や多いによる雨水にともなう廃油、廃液の流出防止措置が必要です。廃油が付着した部品や鉛蓄電池から廃油、廃液が漏出し、降雨にさらされることにより地下浸透又は外部に流出することを防止します。
保管に先立って当該部品からの漏出防止対策が確実に行われることが標準作業書により明らかにされている場合や、 保管に先立ち部品の外部に付着した油分を十分に拭き取るとともに、開口部を閉じる等の措置を講じることにより廃油が外部に流出することがないことが標準作業書により明らかにされている部品については、必ずしも上記保管場所に保管する必要はありません。解体自動車の保管場所については、解体作業場以外に解体自動車の保管場所を設ける場合、外部からの人の侵入を防止することができる囲いが周囲に設けられ、かつ保管区域が明確にされた場所とすることが必要です。
破砕施設、破砕処理前施設は廃棄物が飛散し、流出し、並びに騒音及び振 動によって生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講じる必要があります。 当該施設が廃棄物処理法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設である場合を受けている施設は既に環境保全上適正な処理を行うことが担保された施設とみなされます。
破砕施設を廃家電製品や廃自動販売機といった解体自動車以外の物の破砕に併用する場合には、破砕をする際に区分して破砕することが必要なため標準作業書に手順を記載します。
破砕前処理施設の解体自動車の圧縮又はせん断施設は、一般に廃棄物処理法に基づく都道府県知事等の許可が必要な産業廃棄物処理施設には該当しませんが、廃棄物処理法の処理基準を遵守することは必要です。
圧縮又はせん断した解体自動車(破砕前処理済自動車)の保管を行おうとする場合には、外部からの人の侵入を防止することができる囲いが周囲に設けられ、保管区域が明確にされた保管場所が必要です。圧縮した解体自動車は、一般的な産業廃棄物の保管基準を満たす方法で保管します。また、圧縮していない解体自動車と圧縮した解体自動車は分けて保管する必要があります。
自動車破砕残渣の保管については汚水の地下浸透止措置と部流出防止措置が必要です。同様の目的で屋根、覆いその他雨水が自動車破砕残さにかからないようにするための屋根や覆いなどの設備を有する必要もあります。公共の水域の汚染を防止することができる十分な処理能力を有する排水処理施設及び排水溝が設けられている等により降雨時でも外部への汚水の流出がない場合はこの限りではありません。自動車破砕残さが飛散又は流出することを防止するための側壁やその他の設備(コンテナ等)も必要な措置の1つです。
自動車破砕残さ自体から汚水が生じる場合は、湿式の破砕施設で発生する自動車破砕残さである場合です。一般に自動車破砕残さは発火のおそれがあることから、適切な火災予防にも配慮する必要があります。再資源化に関して、自動車破砕残渣については破砕前処理に関する基準、破砕処理に関する基準に沿って有用な金属及び自動車破砕残さ(シュレッダーダスト)の再資源化を促進します。
フロン類については、ボンベにはCFC、HFCいずれかのみを充填する、30ℓ大型ボンベか、1ℓ小型ボンベに専用パレット のいずれかを利用すること、などに留意し、高圧ガス保安法の基準にも従います。
エアバッグ類はエアバッグ類適正処理基準などに従い処理します。車上作動処理は自再協(自動車メーカー等)と委託契約を結び(加入の申込み及び加入登録)、国(経済産業省・環境省)の認定を受けて初めて業務を実施します
バッテリーについては、一般社団法人自動車再資源化協力機構(jarp.org)の「損傷した電気自動車・ハイブリッド自動車等の取扱い時の主な注意事項」の各自動車メーカー取外し・保管手順を参照する必要があります。関連法令として、火災予防上の措置に関する消防法及び市町村の制定する火災予防条例の規制などがあります。 危険物保安監督者の選任や、高圧ガス保安法への対応も必要です。労働安全衛生法への対応として労働安全衛生法第14条(施行令第6条第2項) アセチレン溶接装置を用いた溶断作業には作業主任者を選任することなどにも注意が必要です。 燃料等については、消防法により、市町村長等の許可を受けた危険物施設以外の場所で貯蔵・取扱いを行ってはならないとされており、危険物施設における貯蔵・取扱いの技術上の基準が定められています。また市町村の条例で指定数量の 1/5以上から指定数量未満の危険物に関する技術基準や届出義務等が課せられている場合もあります。