ASR(自動車破砕残さ)が発生する前段階で樹脂やガラスなどの資源を回収し、ASRの発生量を減少させるための制度が「資源回収インセンティブ制度」です。今回は、この制度の概要についてご紹介します。
本制度の対象は、ASRが発生する前の段階で樹脂やガラスなどの資源を回収することです。ASR基準重量に含まれ、マテリアルリサイクル又はケミカルリサイクルすることを目的として回収します。
対象となる工程は、解体段階と破砕段階の2つです。
| No. | 要件 |
|---|---|
| 1 | 自動車リサイクル法上の解体業・破砕業の許可を受けている事業者であること |
| 2 | 資源の回収を行うに当たって具体的な手法が確立していること |
| 3 | 資源を回収した車台について自動車リサイクルシステム上の移動報告を適切に行うこと |
| 4 | 再資源化の実施に当たり、自動車リサイクル法その他関連法令に基づいた適正な処理を行っていること |
| 5 | ASRになるものとして想定していない車内ごみ等の廃棄物やフロアマット等を解体自動車に含めることでASR重量を増すような行為を行わないこと |
回収インセンティブは、ASRに係るリサイクル料金のうちASRが減少した分の料金を原資として活用する制度です。具体的には、自動車リサイクル法に基づいて自動車所有者が預託するリサイクル料金の一部を原資としています。
ASRに係るリサイクル料金の計算式
ASR基準重量 × ASR再資源化に要する想定単価
解体業者等が本来ASRになるはずだった樹脂やガラス等の資源を回収した場合、ASR引取重量が減量し、その分、自動車製造業者等が支払う再資源化費用が減額となります。この減額によって捻出されるリサイクル料金を原資として、再資源化に必要な経済的インセンティブが付与されます。
当該車台における材料組成データを基に、自動車製造業者等が算出した台当たりのASRになり得る重量のことです。
自動車リサイクル法は、再資源化等料金を原資として自動車製造業者等がASRをはじめとした特定再資源化等物品の再資源化等を行うことにより、使用済自動車や解体自動車の逆有償を防ぐ制度です。これにより、引取業者への使用済自動車の適切な引渡しや不法投棄・不適正保管の発生抑制が図られてきました。
しかし、近年では諸外国のプラスチック・雑品スクラップの輸入規制等により、従来は海外に輸出されていたプラスチックくずや雑品スクラップを日本国内で処理する必要が生じています。その結果、ASRの処理逼迫やASR再資源化施設の受入れ停止、ASRの処理に係る費用の上昇などの課題が発生しています。
通常、廃棄物については解体業者や破砕業者によるリサイクル等に対する動機が十分に働きにくい面があります。実際、解体・破砕段階での樹脂やガラスの回収・リサイクルは、必要なコストに比べ売却価格が十分でなく、事業採算性に課題があります。しかし、使用済自動車や解体自動車から回収する樹脂やガラスは、その量や品質面で資源としての価値は十分にあり、技術的にも再生利用可能な水準にあります。
資源回収インセンティブ制度は、ASRの発生を抑制し、樹脂やガラスの再資源化を促進するための重要な仕組みです。解体業者や破砕業者の皆様は、本制度の参加要件を確認の上、積極的に活用されることをお勧めします。今後のカーボンニュートラルや資源循環の観点からも、本制度の重要性はますます高まっていくものと考えられます。
参考情報