廃棄物処理委託契約ってどうすればいい?

2026.06.23 廃棄物処理法 委託契約 行政書士

こんにちは!前回は許可証の見方についてお話ししましたが、今回は 廃棄物処理委託契約 について詳しく解説していきます。

「処理業者に廃棄物を託すときって、どんな契約を結べばいいの?」「契約書に何を書かないといけないの?」という疑問をお持ちの方、ぜひ最後までお付き合いください。

事前の契約と契約書の保存

廃棄物の処理を委託するときは、まず大前提として 委託基準に従う ことが求められます(法第12条第6項)。処理委託契約は、処理を委託する前にあらかじめ締結しておかなければなりません。

そして契約書は、契約終了の日から5年間保存 する必要があります(施行規則第8条の4の3)。

また、契約が自動更新の場合は、うっかり解約手続きを忘れてしまわないよう注意が必要です。気づかないうちに契約が続いてしまうことがないように、管理を徹底しましょう。

契約の相手方は誰?

廃棄物処理の委託契約は、以下のように役割ごとに契約相手が異なります。

排出事業者が直接契約するのは、廃棄物が最初に処分されるまでに関わる業者、すなわち 一次委託の処理業者(収集運搬業者と処分業者)です。中間処理後の残渣を別の業者で処分する場合(二次委託)は、その部分は受託業者側の責任で行われます。

三者契約に注意

排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者で契約を結ぶ「三者契約」が行われるケースがありますが、ここには落とし穴があります。

衛産第20号(H6.2.17)
排出事業者が処分業者Aと直接接触して能力等を確認することなく、収集運搬業者Bの説明を聞いたのみでAとBを契約相手とする三者契約を締結することは、委託基準に反する(お見込みのとおり)。

つまり、合意に関与していない者を契約書に当事者として記載することは禁止 されています。一般的な三者契約は「合意に実質的に関与した者」と「契約書に記名押印した者」が一致していることが前提です。

委任を受けて契約する場合

一方、排出事業者から契約締結権限を委任された団体を通じて契約する方法もあります。たとえば医療機関が郡市区医師会に委任するケースが代表的です。

環境省マニュアル(H28.3)より
水銀血圧計等の回収において、各医療機関が個別に契約を結ぶ代わりに、郡市区医師会に契約締結権限を委任し、医師会と処理業者が契約を結ぶ方法が示されています。ただし、あくまで排出事業者は各医療機関であり、排出事業者責任が医師会に転嫁されるわけではない点に注意が必要です。

契約相手を把握する義務

排出事業者には、最終処分が終了するまでの 一連の処理工程を把握する義務 があります(法第12条第7項)。一次委託以降の直接処理委託契約は不要ですが、だからといって処理の流れを知らなくていいわけではありません。

法第12条第7項
事業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、処理の状況に関する確認を行い、発生から最終処分が終了するまでの一連の処理行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

契約書の法定記載事項

処理委託契約書には、法律で定められた記載事項が細かく決められています。収集運搬委託契約書と処分委託契約書の両方について、必ず添付すべき書面とセットで確認しておきましょう。

まずは法定記載事項の一覧をご紹介します。

契約書の法定記載事項
区分法律で定められる記載事項備考
共通 産業廃棄物の種類及び数量数量は予定でもOK
委託契約の有効期間自動更新の定めがあってもOK
委託者に支払う料金単価と数量から算出でOK
委託者の事業範囲(許可証添付)「添付する許可証のとおり」でOK
産業廃棄物の性状及び荷姿性状:固体、液体など/荷姿:袋、コンテナなど
産業廃棄物の性状の変化(通常の保管下で)腐敗や揮発の可能性など
産業廃棄物の混合等による支障
JIS C0950 含有マークの表示に関する事項対象の電子部品が含まれる場合に記載
石綿含有・水銀使用製品等が含まれる旨
その他取り扱い上の注意
上記6項目の変更情報の伝達方法書面、FAX等(H18.7〜)
受託業務終了の報告に関する事項マニフェストによる報告で構わない
契約解除時の産業廃棄物の取扱い解除時の未処理廃棄物の責任など
収集運搬 運搬の最終目的地の所在実際に搬入する施設を記入
積替保管を行う場所の所在地積替保管を行う場合
積替保管できる産業廃棄物の種類・保管上限
他の廃棄物との混合の許否に関する事項
処分 処分(再生)場所の所在地・方法・能力受託者が行う処分に関する情報
最終処分の場所の所在地・方法・処理能力中間処理後の残渣を含む
輸入された廃棄物である旨該当する場合に記載

特に 「数量」と「受託者に支払う料金」 は記載漏れが多いので要注意。事後に記載しようとしてもNGです。予定数量であれば問題ありません。

契約書に添付すべき書面

契約書には以下の書面を必ず添付する必要があります。

数量の記載ルール

循環233号・循環251号より
委託する廃棄物の数量は、法令で定められる19種類の区分ごとに記載するのが原則です。ただし、廃棄物が一体不可分に混合している場合は、種類を明記した上で混合物として一括して数量を記載しても差し支えありません。

数量の把握は計量が原則ですが、車両台数や容器個数などを併記する方法でも、契約当事者双方が了解していれば代用できます。

費用の支払い方

処理費用の支払い方法にもいくつかのパターンがあります。法の趣旨に照らして最も望ましいのは、排出事業者から収集運搬業者と処分業者にそれぞれ直接支払う方法です。

支払い方法評価
収集運搬業者と処分業者にそれぞれ直接支払い最も望ましい
収集運搬業者へ処分費用もまとめて支払い同じグループ会社などの例外を除き、透明性に問題がある場合が多い
管理業者(第三者)を通して支払い事業エリアが広く、全ての処理業者を自社で管理できない場合に用いられる

都道府県によっては1番目以外は改善指導の対象になることもあります。また、H29年の通知でも、処理委託の根幹的内容(廃棄物の種類・数量、料金、有効期間など)の決定を第三者に委ねるべきではないと明確にされています。

契約書の内容変更

契約内容を変更する場合、変更事項によって対応方法が異なります。

区分内容
書面対応が必要法定記載事項の変更廃棄物の種類や性状の追加・変更、処理単価の変更、処分場所や運搬目的地の変更、契約解除時の取扱いの変更
当事者間判断法定記載事項以外の変更支払い方法の変更、代表者の変更、会社合併による変更など

数量についても、常識の範囲内の増減であれば都度書面に残す必要はありませんが、処理能力から見て著しく負担となるような変更の場合は書面対応が必要です。

WDS(廃棄物データシート)について

化学物質の情報伝達に使われるSDS(安全データシート)をご存じでしょうか。これの廃棄物版とも言えるのが WDS(廃棄物データシート) です。

環境省は、性状や取扱い上の注意など、排出事業者から処理業者へ伝えるべき情報についてWDSの活用を推奨しています。

特に、外観から含有物質や有害特性がわかりにくいもの(汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリなど)については、WDSを活用する必要性が高いとされています。「廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)」も参考にしてください。

法定の記載事項以上に告知すべき情報がある場合、排出事業者には 処理業者へ正しく情報を伝える責任 があります。

まとめ

いかがでしたか?廃棄物処理委託契約は、法律で細かくルールが定められている分野です。正しい知識を身につけて、適正な契約を結びましょう。

参考:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」関連法令・通知/「廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第2版)」
本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。