こんにちは!前回は委託契約についてお話ししましたが、今回は マニフェスト制度(産業廃棄物管理票制度) について詳しく解説していきます。
「マニフェストって何のためにあるの?」「どんなルールで運用すればいいの?」という疑問をお持ちの方、ぜひ最後までご覧ください。
マニフェスト制度は、産業廃棄物が排出されてから最終処分されるまでの一連の流れを 情報伝達 と 処理の進捗確認 によって管理するための制度です。
制度の歴史を振り返ると、以下のように段階的に拡充されてきました。
| H2年 | 厚生省による指導としてスタート |
|---|---|
| H4年 | 特別管理産業廃棄物に使用義務化 |
| H10年 | すべての産業廃棄物に使用義務化/電子マニフェスト導入 |
| H13年 | E票により最終処分完了までの確認が法定化 |
| H29年 | 特別管理産業廃棄物の多量排出事業者に電子マニフェスト義務化(R2〜) |
排出事業者には、マニフェストに関して次の4つの義務があります。しっかり押さえておきましょう。
| 1 | 交付義務 | 産業廃棄物を受託者に引き渡す際に、種類や数量等を記載したマニフェストを交付しなければならない |
|---|---|---|
| 2 | 措置義務 | 処理終了報告が法令の期間内にない場合、処理状況を把握し適切な措置を講じなければならない |
| 3 | 保存義務 | 交付したマニフェストおよび処理終了報告を受けたものは 5年間 保存しなければならない |
| 4 | 報告義務 | 排出事業場ごとに、毎年6月までに前年度分のマニフェスト情報を報告しなければならない |
マニフェストは、公益社団法人全国産業資源循環連合会が定めるカーボン紙7枚綴りの伝票が基本です(建設系は別途、建設6団体の様式があります)。
それでは、各伝票の役割と流れを順番に見ていきましょう。
排出事業者は、産業廃棄物の引き渡しと同時に、収集運搬業者にマニフェストを交付します。収集運搬業者はA票に受け取りの署名をし、A票は排出事業者の控えとしてその場で返されます。
収集運搬業者は廃棄物と6枚の伝票を処分施設まで運搬します。処分業者が受け取り署名をし、B1票とB2票を収集運搬業者に返します。
処分業者は処分終了後、以下のように伝票を処理します。
中間処理後の残渣をさらに委託する場合(二次委託)、中間処理業者が排出事業者と同じように委託契約とマニフェスト(二次マニフェスト)を交付します。最終処分が終了すると、最終処分業者から処分業者へ E票 が届きます。
処分業者は二次マニフェストのE票を確認したうえで、一次マニフェストの E票 に必要事項を記載し、最終処分を確認した日から10日以内に排出事業者へ送付します。排出事業者はE票を受け取って最終処分の完了を確認し、保存します。
A票は排出事業者が記載義務を負う伝票で、以下の10項目を記入します。
| 1 | 交付年月日と交付番号 |
|---|---|
| 2 | マニフェスト交付担当者の氏名 |
| 3 | 排出事業者の氏名又は名称と住所 |
| 4 | 排出事業場の名称と所在地 |
| 5 | 産業廃棄物の種類と数量 |
| 6 | 石綿含有廃棄物・水銀使用製品廃棄物等が含まれる場合はその旨及び数量 |
| 7 | 産業廃棄物の荷姿 |
| 8 | 最終処分を行う場所の所在地 |
| 9 | 運搬又は処分を委託した者の氏名と住所 |
| 10 | 運搬先事業場の名称と所在地(積替保管の場合はその所在地) |
A票の内容に加えて、次の事項を記載します。
A票の内容に加えて、次の事項を記載します。
最終処分の完了を報告する伝票で、次の事項を記載します。
排出事業者の手元に残る4枚の伝票には、それぞれ保存期間が定められています。
| 伝票 | 保存期間 | 起算日 |
|---|---|---|
| A票 | 5年 | 交付した日 |
| B2票 | 5年 | 送付を受けた日 |
| D票 | 5年 | 送付を受けた日 |
| E票 | 5年 | 送付を受けた日 |
| 伝票 | 送付期限 | 最終確認期限 |
|---|---|---|
| B2票 | 運搬終了日から 10日以内 | 交付日から 90日以内(特別管理:60日以内) |
| D票 | 処分終了日から 10日以内 | 交付日から 90日以内(特別管理:60日以内) |
| E票 | 最終処分確認日から 10日以内 | 交付日から 180日以内 |
各伝票が期限内に届かない場合は、排出事業者が 措置内容用報告書 を都道府県知事に提出する必要があります。日頃から伝票の返却状況をしっかり管理しておきましょう。
マニフェストを交付した排出事業者は、年に1度、交付状況について都道府県または政令市に報告書を提出しなければなりません(法第12条の3第7号)。
数量を㎥で記載している場合は、換算係数を用いてトン(t)に換算して報告します。
電子マニフェストは、紙のマニフェストで行っていた情報伝達と処理状況の確認を、情報処理センターのシステム上で行う仕組みです。令和2年時点で 電子化率は65%超 となっています。
平成29年の法改正により、前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が年間50トン以上の事業場は、電子マニフェストの使用が義務化されました(令和2年度〜)。
引き渡し日およびそれぞれの処理終了日から 3日以内 に登録します。この3日間には、土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)は含みません。
| A料金 | B料金 | C料金(団体) | |
|---|---|---|---|
| 基本料(年) | 26,400円 | 1,980円 | 110円 |
| 使用料(1件) | 11円 | 90件まで無料/91件から22円 | 5件まで無料/6件から22円 |
| 目安 | 2,401件以上 | 2,400件以下 | ー |
加入単位は法人単位である必要はなく、事業場単位でもOKです。各事業場で個別に料金プランを選択できます。
電子マニフェストを運用する場合、運搬時に携帯する書面として 受渡確認票 が必要です。法定書式はなく、予約登録機能を利用して印刷する方法と、独自様式を使う方法があります。
受渡確認票には以下の書面を併せて携帯する必要があります。
2010年の改正で、マニフェストが交付されていない産業廃棄物の引受禁止 が定められました。
「排出事業者がマニフェストを用意してくれないから、廃棄物だけ先に回収しよう」という対応をとると、処理業者が刑事罰の対象となる可能性があります。廃棄物処理法上の罰金は 欠格要件に該当 し、すべての許可が取り消しになりかねません。絶対にやめましょう。
いかがでしたか?マニフェスト制度は一見複雑に見えますが、一つひとつのルールを理解すれば決して難しくありません。適正な廃棄物処理のため、しっかり運用していきましょう。