産業廃棄物の処理を委託する際には、通常マニフェスト(管理票)の交付が必要ですが、以下のような場合にはマニフェストの交付が不要となります。
専ら物だけを専門に収集運搬又は処分を行っている者のことを指します。
専ら物とは有価物ではなく、廃棄物です。4品目については有償で売却が一般的ですが、排出状況等によっては売却することができず、廃棄物(専ら品)として扱われることがあります。有価物の取引として廃棄物処理法の対象外であることと、専ら物の引渡しとして廃棄物処理法の特例であることを混同してしまわないように注意が必要です。
専ら物の委託ではマニフェストは不要ですが、書面による委託契約の締結は必要です。なお、一般的に専ら物の特例を利用する状況は少ないとされています。
| 業許可 | 委託契約書 | マニフェスト | |
|---|---|---|---|
| 小型家電R法 | 不要 | 必要 | 必要 |
| 家電R法 | 不要 | 必要 | 必要 |
| 家電リサイクル券(家電R法で規定するフロー) | 不要 | ||
| 食品R法 | 不要 | ||
| 容器包装リサイクル法 | 不要 | ||
| 一般廃棄物 | 不要 | ||
| 自動車リサイクル法 | 不要 | ||
| プラ資源循環法 | 不要 | 必要 | 必要 |
いずれの場合も、それぞれのリサイクル法で規定している「認定」「登録」「許可」を取っている場合等の制限がありますので、注意が必要です。
措置内容等報告書とは、排出事業者が適切な処理が行われていない、又はそのおそれがある場合に、委託した処理の状況を把握し、適切な措置を講じなければならないという制度です(法第12条の3第8項、第12条の5第11項)。
| 区分 | 条件 | 提出期限 | |
|---|---|---|---|
| マニフェスト | 電子マニフェスト | ||
| 未送付 | B2票・D票がマニフェスト交付日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)を過ぎても変更されないとき | 運搬、処分終了の報告が登録日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)を過ぎてもなされないとき | 期限を超過した日から30日以内 |
| E票がマニフェスト交付日から180日を過ぎても返送されないとき | 最終処分終了の報告が登録日から180日を過ぎてもされないとき | ||
| 記載漏れ | 処理業者から送付されたマニフェストに記載漏れがあったとき | - | そのマニフェストの送付を受けた日から30日以内 |
| 虚偽報告 | 処理業者から送付されたマニフェストに虚偽の記載があったとき | 処理終了報告が虚偽の内容を含むとき | 虚偽の記載があることを知った日から30日以内 |
委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握し(法第12条の3第8項)、生活環境の安全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずる必要があります(施行規則第8条の29等)。
処理困難通知とは、産業廃棄物の処理業者が現に委託を受けている産業廃棄物の処理を適正に行うことが困難になり、又は困難となるおそれがある事由が生じたときに、その旨を受託した排出事業者へ通知することを義務付けた制度です(法第14条第13項)。
平成22年の中央環境審議会の意見具申を受け、同年の法改正で処理業者に義務付けられました。さらに平成29年の法改正では、処理業を廃止した者及び取り消された処理業者も対象に加えられています。
排出事業者は、処理業者から処理困難通知を受け取り、その処理業者にすでに委託している産業廃棄物で処理終了の報告がないものがある場合、必要な措置を講じ、期限までに措置内容等報告書を都道府県知事に提出しなければなりません(法第12条の3第8項等)。
廃棄物処理法で「書面で行う」とされている委任契約書については、e-文書法に基づく電磁的記録による作成が可能であり、電磁的記録による保存も可能です。
一方、マニフェストはe-文書法の対象外ですので、電子マニフェストを利用することになります。また、事業者が自ら運搬を行う際に車両への備付けが義務付けられる書面や、処理業者への再委託を承諾する際の承諾書の写しも、e-文書法に基づく電子化が可能です。
再委託とは、産業廃棄物収集運搬業者又は処分業者が、その受託した収集運搬又は処分を他人へ委託することをいいます。原則として禁止されています(法第14条第16項)。実際に行う処理の責任が不明確になり、不適正処理につながる可能性が懸念されているためです。
(産業廃棄物処理業)第十四条第16項:産業廃棄物収集運搬業者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。ただし、事業者から委託を受けた産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を政令で定める基準に従って委託する場合その他環境省令で定める場合は、この限りでない。
再委託は原則禁止ですが、再委託処理基準に従った再委託は事故等の緊急的な場合のみに限定されません。ただし、再々委託は禁止されています。
| 区分 | 条件 |
|---|---|
| 施行令第6条の12に基づく再委託基準に従って委託を行う場合 | 再委託基準を遵守すること |
| 施行規則第10条の7に該当する場合 | 中間処理業者から中間処理後の残さの処理を受託した者が基準に従って再委託を行う場合/改善命令又は措置命令を受けた者が、その命令を履行するために必要な範囲で、排出事業者の承認を得て他人に処理を委託する場合 |
| 1 | あらかじめ排出事業者へ、再委託者の氏名又は名称、当該委託が再受託者の事業の範囲に含まれることを明らかにすること |
|---|---|
| 2 | 再委託に関して排出事業者から書面による承諾を受けていること(委託した産業廃棄物の種類と数量、受託者の氏名・住所・許可番号、承諾の年月日、再受託者の氏名・住所・許可番号を記載) |
| 3 | 再受託者に産業廃棄物を受け渡す際に、委託契約書に記載される事項を記載した文書を交付すること |
| 4 | 輸入された廃棄物の処分(再生)を委託しないこと |
| 5 | その他、通常の委託基準に従うこと(受託者と再受託者との間で委託契約書の締結等) |
建設廃棄物について、下請け業者が運搬を行う場合は、原則として廃棄物の処理委託に該当するため、収集運搬業許可が必要です。
以下の条件をすべて満たす場合、下請け業者も当該廃棄物の運搬に限り、排出事業者とみなして運搬が可能です。1つでも条件が欠けると、委託基準違反(5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はその併科)となります。
| 運搬するための条件 | 新築・増築・解体工事ではない建設工事(維持修繕工事、瑕疵補修工事など)であること |
| 請負金額(発注者の支払金額)が500万円以下の工事であること | |
| 特別管理産業廃棄物(飛散性のアスベストなど)が発生しないこと | |
| 1回に運搬する廃棄物は1㎥以下の容量であることが明らかであるよう区分すること | |
| 下請け業者が受注した工事から発生した廃棄物のみが対象であること | |
| 運搬の途中で積替保管を行わないこと | |
| 建設現場と同一の県又は隣接する県の、元請け業者が使用権限を持つ保管場所へ運搬すること | |
| 保管場所からの廃棄物の処理に関しては、元請業者が排出事業者としての責任を果たすこと | |
| 運搬時の管理 | 下請け業者と交わす書面による工事請負契約に、下請け業者が運搬することを定めた内容を含むこと |
| 運搬時には、上記契約書の写しを携帯すること | |
| 運搬時には、車両の表示や書面の携帯など運搬時の基準が適用されること |
平成9年の法改正により、現物に手を掛けない「取り次ぎ」行為が禁止されました。「口利き」「仲介」「取り次ぎ」行為は、過去においてブローカーと呼ばれる人たちが暗躍し、不適正処理に結びつく例が頻発したことから、禁止とされています。
法第14条第15項:産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者以外の者は、産業廃棄物の収集又は運搬を、産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者以外の者は、産業廃棄物の処分を、それぞれ受託してはならない。
「最終処分を除く」という点が重要です。例えば「汚泥の脱水を委託された業者が、脱水後の脱水汚泥を、別の焼却業者に焼却を委託する」という行為などが該当します。
中間処理残渣物を中間処理業者が処理委託する場合は、中間処理業者は「事業者」とみなされるため、事業者として委託契約をしてよいことになります。
法第12条第5項:事業者(中間処理業者を含む)は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
委託基準に関する重要な定めとして、マニフェスト交付不要の特例、処理困難通知、再委託の取扱い、建設廃棄物の下請け運搬の特例など、多くのルールがあります。それぞれの条件を正しく理解し、適切に運用することが、法令遵守と適正処理の実現につながります。
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