処理基準 〜 特別な基準を要する廃棄物について

2026.06.23
処理基準 特別管理産業廃棄物 石綿 PCB 水銀

特別管理産業廃棄物の処理方法と基準

特別管理産業廃棄物とは、人の健康や生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を持つ産業廃棄物です。

保管

収集・運搬

中間処理

埋立処分

廃石綿等、石綿含有産業廃棄物の基準

石綿(いしわた、せきめん、アスベスト)は繊維状の鉱物で、引張に強く耐火性に優れる一方、飛散しやすく人体に吸収されやすいという特性があります。人体に吸引されると長期間体内に残り、じん肺や悪性中皮腫の原因となるため、現在は製造・使用が全面的に禁止されています。

レベル1レベル2レベル3
使用例吹付石綿耐火被覆材、保温材スレート、Pタイル等
廃棄物処理法上の区分特別管理産業廃棄物「廃石綿等」「石綿含有産業廃棄物」

廃石綿等とは廃石綿及び石綿が飛散するおそれのあるもの、石綿含有産業廃棄物とは石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものをいいます。

廃石綿等の処理基準

収集運搬はプラスチック袋等による梱包を行い、積込み・荷下ろしは原則として人力で行います。原則として積替保管は行わず、処分施設へ直行します(再飛散リスクの防止)。処分は、固形化・薬剤による安定化後、耐水性のある材料で二重梱包し、管理型最終処分場に埋め立てるか、中間処理で溶融又は無害化処理を行います。

石綿含有産業廃棄物の処理基準

収集運搬は他の廃棄物と混合しないよう区分し、できるだけ原型のまま整然と積込み・荷下ろしを行います。運搬中はシートで覆う等の飛散防止対策が必要です。処分は、中間施設での溶融、無害化認定施設での無害化、又は安定型若しくは管理型最終処分場への埋立となります。

石綿障害予防規則

令和2年改正の大気汚染防止法・石綿障害予防規則では、建築物の事前調査について、厚生労働大臣が定める講習「建築物石綿含有建材調査者講習」を修了した者等が行うこととされています(令和5年10月から)。また、一定規模以上の建築物の解体・改修工事(解体工事:床面積80㎡以上、改修工事:請負金額100万円以上等)では、事前調査結果等を電子システムで届け出る必要があります(令和4年4月から)。

PCBに係る処理基準

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、無味無臭の油状の液体で、耐熱性、粘着性、不燃性、電気絶縁性に優れていたため、トランスやコンデンサなどの電気機器に絶縁油として使用されていました。しかし、分解されにくく人体に蓄積されて皮膚障害や内臓障害を引き起こすことから、現在は使用が全廃されています。

廃棄物の区分説明
廃PCB等廃PCB、PCBを含んだ廃油
PCB汚染物PCBが塗布・染込・封入・付着した汚泥、紙くず等
PCB処理物廃PCB等又はPCB汚染物質を処分するために処理したもの

PCB廃棄物は、PCB濃度5,000mg/kgを境に高濃度と低濃度に区分されます。高濃度PCB廃棄物はJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)が処理を行い、低濃度PCB廃棄物は国の無害化処理認定施設又はPCB廃棄物の特別管理産業廃棄物処分業許可を持つ処分業者が処理します。

保管については、ラベル貼付によるPCB廃棄物であることの明記、オイルパン等による流出防止策、保管容器内へのパッキング材充填による転倒等防止策が必要です。

水銀廃棄物の分類

平成29年8月に「水銀に関する水俣条約」が発効され、廃棄物処理法も改正されました。

区分定義
特別管理産業廃棄物廃水銀等特定施設において生じた廃水銀又は廃水銀化合物
水銀汚染物特定施設で生じた鉱さい、ばいじん、汚泥等で水銀濃度基準以上のもの
(普通)産業廃棄物水銀含有ばいじん等ばいじん、燃え殻等のうち水銀を15mg/kg以上含有するもの
水銀使用製品産業廃棄物水銀使用製品が産業廃棄物となったもの

水銀廃棄物の収集運搬は密閉容器に入れて行い、埋立処分は硫化・固形化してから行います。

水銀使用製品産業廃棄物の対応

水銀使用製品産業廃棄物は、産業廃棄物20種には含まれず、石綿含有産業廃棄物と同じ考え方で取り扱われます。水銀電池、蛍光ランプ、水銀体温計、水銀式血圧計などが該当します。

水銀使用製品産業廃棄物を取り扱う際は、以下の点に注意が必要です。

保管仕切りや表示によって混合を防止。掲示板の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」と追記
許可証の確認処理業許可証に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれていること
契約書の記載処理委託契約書の廃棄物の種類に明記すること
マニフェストの交付種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」と明記し数量を記載

まとめ

特別な基準を要する廃棄物として、特別管理産業廃棄物、石綿含有廃棄物、PCB廃棄物、水銀廃棄物があります。これらは通常の産業廃棄物よりも厳格な処理基準が適用されます。それぞれの性状やリスクを正しく理解し、保管・収集運搬・中間処理・埋立処分の各段階で適切な対応を取ることが、生活環境の保全と安全確保のために不可欠です。

参考情報