環境関連法令 ― 廃棄物処理と環境法の全体像

2026.06.23

はじめに

廃棄物処理を理解するためには、環境関連法令の全体像を把握することが重要です。明治期の足尾銅山鉱毒事件に始まり、四大公害病を経て、現在の環境法体系が形成されてきました。今回は、廃棄物処理に関連する主要な環境法令をご紹介します。

環境基本法

平成5年11月、公害対策基本法に代わって環境基本法が制定されました。この法律は、環境の保全について基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにしています。

【目的】環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とします。

基本理念

  1. 環境の恵沢の享受と継承
  2. 環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築
  3. 国際的協調による地球環境保全の積極的推進

事業者には、拡大生産者責任に基づく責務が課されています。

環境基準

大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音について、人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準が定められています。規制基準は、この環境基準を達成するためのツールとして位置づけられています。

循環型社会形成推進基本法

平成12年6月に制定されたこの法律は、廃棄物等の発生抑制、循環資源の循環的な利用及び適正な処分の確保により、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができるかぎり低減される社会(循環型社会)の実現を目指しています。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の原則がその中心にあります。

資源有効利用促進法

10業種69品目を対象に、7つの分類に分けて3Rを求めています。2025年8月には、モバイルバッテリーと携帯電話、加熱式たばこ機器の3品目が追加されました。背景には、2023年度にごみ収集車や処理施設で発生した小型リチウム蓄電池による発煙・発火事故が21,751件に上ったことがあります。

土壌汚染対策法

国民の健康保護を目的とする対策法です(生活環境保全は対象外)。フロー汚染対策のような未然防止アプローチではなく、ストック汚染に対する事後対策アプローチを取っています。

環境の考え方

環境容量

環境汚染物質の収容力を指し、その環境を損なうことなく受け入れることのできる人間の活動または汚染物質の量を表します。

汚染者支払原則(PPP)

公害防止のために必要な対策や、汚された環境を元に戻すための費用は、汚染物質を出している者が負担すべきという考え方です。OECDが1972年に提唱しました。

拡大生産者責任(EPR)

生産者が、その生産した製品が使用され廃棄された後においても、適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任を負うという考え方です。

まとめ

環境関連法令は、公害対策から循環型社会の形成へと大きく発展してきました。事業者には、環境基本法に基づく責務として、拡大生産者責任を意識した取組が求められています。また、土壌汚染対策法や各種環境条例にも注意が必要です。

参考情報
環境基本法(平成5年法律第91号)
循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第104号)
資源有効利用促進法(平成3年法律第48号)
土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)