有価物買取と金属盗問題

2026.06.23

はじめに

有価で買い取って有価で売却する場合、廃棄物処理業の許可は不要ですが、古物商の許可が必要となる場合があります。また、近年深刻化する金属盗問題や「逆有償」取引の取扱いについても理解しておく必要があります。

有価物買取と古物商許可

有価で買い取って有価で売却する場合、基本的に廃棄物処理業の許可は不要です。しかし、その際に古物商の許可が必要となる場合があります。

古物に該当しないものとして、警視庁の解説では「金属原材料、被覆いのない古銅線類」が挙げられています。金属の材料として売買されるのであれば、古物商の許可は不要です。しかし、買い取ったものを本来の目的のために転売するのであれば許可が必要となります。ドラム缶やフレコンを有価販売する場合には、古物商の許可が必要なケースがあります。

なお、全くの無償で引き取ったものについては、盗品の可能性が低いため古物商の許可は不要とされています。

金属窃盗問題

金属盗の認知件数は年々増加しており、令和5年には16,276件と令和3年の2倍以上に達しました。令和5年の銅の被害額は約97億7,900万円で、金属盗難被害額全体の約7割を占めています。令和6年の金属盗被害額は約140億円以上と推定されています。

古物に該当しない金属くずの買取りについては、いわゆる金属くず条例が制定されている17道府県を除き規制がないため、条例を制定していない自治体では本人確認されることなく金属くずが売却できるなど、盗品の売却が容易な状況にあります。

逆有償(手元マイナス)

「逆有償」とは、排出事業者が処理業者に代金を支払って使用済み品を譲渡する取引を指します。この場合、対象品は廃棄物とみなされ、廃棄物処理法違反となる可能性があります。

逆有償取引の判断基準

取引パターン判断
XがYに代金を支払って譲渡廃棄物処理法違反(対象品は廃棄物)
XがYに無償(0円)で譲渡0円は有償売却ではなく、逆有償として指導されることが多い
XがYから譲渡代金を受領して譲渡廃棄物に該当せず、Yの許可は不要
運搬費が譲渡代金を超過運搬中のみ廃棄物(Zが無許可なら違反)

平成25年3月29日付けの通知では、「有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、廃棄物に該当しないと判断しても差し支えない」とされています。ただし、有償譲渡を偽装した脱法的な行為を防止するため、再生利用の確立・継続性や譲渡先選定の合理的理由など、各種判断要素を総合的に勘案する必要があります。

必要な運用

まとめ

有価物の買取・売却を行う場合、廃棄物処理法と古物商法の両方の観点から適切な手続きを踏む必要があります。特に逆有償取引は廃棄物処理法違反となるリスクが高く、また金属盗問題を背景とした規制強化が進んでいます。最新の通知や条例を確認しながら、コンプライアンスを徹底することが重要です。

参考情報
警視庁「古物営業法の解説」
警察庁「金属盗対策に関する検討会」
平成25年3月29日付通知(環廃産発第130329111号)
各都道府県の金属くず条例