今回は、廃棄物処理法における「廃棄物」の定義とその種類について詳しくご説明します。廃棄物の定義を正しく理解することは、適正な処理の第一歩です。
廃棄物の種類は、排出工程、内容、性状などによって判断します。
| 排出工程で判断するもの | 燃え殻、ばいじん、がれき |
| 内容で判断するもの | 金属くず、廃プラスチック類、木くず、紙くず等 |
| 性状で判断するもの | 汚泥 |
使用済みの電気製品等、複数の種類の産業廃棄物が複合・混合している場合は、一体不可分の1種類の廃棄物として取り扱うことも可能です。
| 廃棄物 | 第2条:ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く) |
| 法の対象とならないもの | 有価物 |
| 気体状のもの | |
| 放射性物質及びこれによって汚染された物 | |
| 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂等 | |
| 漁業活動に伴って魚網にかかった水産動植物等 | |
| 土砂及び専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの | |
| 動物霊園事業において取り扱われる愛玩動物の死体、古い墓等 | |
| 放置間伐材について、通常の材木と同様の性状等が認められるもの | |
| 他の法律で規制される廃棄物 |
廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること。
これが総合判断説と呼ばれる考え方です。
| 1 | 物の性状 | 利用用途に要求される品質を満足し、飛散・流出・悪臭等の支障がないこと。安定性と有害性 |
|---|---|---|
| 2 | 排出の状況 | 需要に沿った計画的な排出であり、適切な保管や品質管理がなされていること。計画性 |
| 3 | 通常の取り扱い形態 | 製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理される事例が通常認められないこと。市場性 |
| 4 | 取引価値の有無 | 有償譲渡がなされており、客観的に見て経済的合理性があること |
| 5 | 占有者の意思 | 社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用・有償譲渡する意思が認められること。客観的主体性 |
豆腐製造業者から処理料金を徴して収集・運搬・処分された「おから」について、最高裁は「不要物」に当たり産業廃棄物に該当すると判断しました。この判例で、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要となった物という基準が確立されました。
売却益 ≦ 運搬費、すなわち手元マイナスとなる状態を「逆有償取引」といいます。有償で売却されていても、運搬費用等を加味すると売却側が全体として経済的損失を被る状況です。
第2条
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物
事業活動とは、単に営利を目的とする活動に限らず、公共的事業を含む広義のもので、NPO法人の事業や法人格を持たない町内会のイベントも含まれます。
産業廃棄物は20種類あり、法定6種+その他政令で定める14種類に分類されます。
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 燃え殻 | 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物等 |
| 汚泥 | 排水処理後及び各種製造業で排出された泥状のもの、建設汚泥等 |
| 廃油 | 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、溶剤、タールピッチ等 |
| 廃酸 | 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類等 |
| 廃アルカリ | 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等 |
| 廃プラスチック類 | 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等 |
| ゴムくず | 生ゴム、天然ゴムくず |
| 金属くず | 鉄鋼又は非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等 |
| ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 板ガラス、コンクリートくず、廃石膏ボード、陶磁器くず等 |
| 鉱さい | 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、粉炭かす等 |
| がれき類 | 工作物の新築・改築等により生じたコンクリート破片、アスファルト破片等 |
| ばいじん | 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設等で発生し集じん施設で集められたもの |
| 種類 | 該当する事業 |
|---|---|
| 紙くず | 建設業、パルプ製造業、製紙業、新聞業、出版業等 |
| 木くず | 建設業、木材・木製品製造業、パルプ製造業、物品賃貸業等 |
| 繊維くず | 建設業、繊維工業(衣服等製造業を除く) |
| 動植物性残さ | 食料品、医薬品、香料製造業 |
| 動物性固形不要物 | と畜場、食鳥処理場 |
| 動物のふん尿 | 畜産業 |
| 動物の死体 | 畜産農業 |
以上の19種類の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記のいずれにも該当しないものを13号廃棄物といいます。例えば、コンクリート固化された廃棄物などが該当します。
この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
| 一般廃棄物 | 家庭廃棄物(家庭ごみ) |
|---|---|
| 事業系一般廃棄物 |
事業系一般廃棄物とは、事業活動に伴って排出される一般廃棄物のことです。例えば、レストランから出る食べ残し、オフィスや病院から出る紙ごみなどが該当します。事業系一般廃棄物の処理責任も事業者にあることに注意が必要です。
通常の廃棄物と同じように扱うと、人の健康や環境への被害を生じるおそれのあるものを特別管理産業廃棄物といいます。
| 種類 | 説明 | |
|---|---|---|
| 燃焼性の廃油 | 揮発油類、灯油類、軽油類 | |
| 腐食性の廃酸、廃アルカリ | pH値が2.0以下の廃酸、12.5以上の廃アルカリ | |
| 感染性産業廃棄物 | 医療機関等で発生した感染のおそれのある廃棄物 | |
| 特定有害産業廃棄物 | PCB廃棄物 | PCBが含有又は付着している廃棄物 |
| 廃石綿等 | 石綿が飛散するおそれのある廃棄物 | |
| 廃水銀等 | 特定施設から排出される廃水銀又は廃水銀加工物等 | |
| 有害金属等を含む産業廃棄物 | 有害金属等が基準に適合しない鉱さい、ばいじん、燃え殻等 | |
専ら物とは、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物又は一般廃棄物のことです。以下の4種類が該当します。
廃棄物の定義は「総合判断説」に基づき、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思の5つの視点から総合的に判断されます。産業廃棄物は20種類に分類され、それぞれ適切な処理方法が定められています。廃棄物の種類を正しく判断し、適正に処理することが事業者の責務です。
参考情報
環境省「行政処分の指針について(通知)」R3.4.14
最高裁判例 最判H11.3.10(おから裁判)