廃棄物処理法をはじめとする関連法令には、さまざまな罰則規定が定められています。法令に違反してしまうと、刑事罰や行政処分の対象となり、事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。今回は、廃棄物処理に関わる罰則規定について詳しく解説します。
廃棄物処理法(第25条〜第34条)は、すべての処理業者に適用されます。主な罰則は以下のとおりです。
| 法令 | 最高罰則 |
|---|---|
| 廃棄物処理法 25条、32条 | 5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はその併科 法人に対して最大3億円の罰金 |
| 大気汚染防止法 33条、36条 | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 法人に対して最大100万円以下の罰金 |
| 水質汚濁防止法 30条、34条 |
法人については両罰規定が適用されます。これは、違反者個人だけでなく、その行為者が所属する法人に対しても罰金刑を科すという定めです。原則として違反者個人が罰則適用の対象となりますが、両罰規定により法人も責任を負うことになります。
| 直接罰 | 法令の違反に対して直接適用される罰則です |
| 間接罰 | 法令に適合しない行為に対して、都道府県が出す改善等の命令に違反した場合に適用される罰則です |
マニフェスト管理者は、以下のルールを遵守する必要があります。
| ルール | 罰則 |
|---|---|
| 廃棄物を委託する際にマニフェストを交付すること | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
| 法令で定めた事項を記載すること | |
| 法令で定めた期間保存すること |
なお、平成29年の法改正により、罰則が6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金から倍増されています。
| 罰則 | 両罰 | 主な違反行為 | |
|---|---|---|---|
| 5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はその併科 | ○ | 措置命令違反 | 支障の除去等の措置命令に違反した場合 |
| ● | 投棄禁止違反 | 廃棄物をみだりに投棄した場合(未遂含む) | |
| ● | 焼却禁止違反 | 廃棄物をみだりに焼却した場合(未遂含む) | |
| 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科 | ○ | 不法投棄・不法焼却目的の運搬 | 不法投棄や不法焼却の目的で廃棄物を収集運搬した場合(不法投棄・焼却の準備罪) |
| ○ | 改善命令違反 | 改善命令に違反した場合 | |
| 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | ○ | 管理票義務違反 | 産業廃棄物管理票に関する義務違反(虚偽の記載、記載事項の不備、保存義務違反など) |
| 300万円以下の罰金 | ○ | 報告拒否・虚偽報告 | 行政庁から求められた報告を拒否又は虚偽の報告を行った場合 |
| ○ | 帳簿備付け義務違反 | 義務付けられる帳簿の備付けや保存をしなかった場合 | |
| ○ | 立入検査拒否 | 行政庁が行う立入検査等を拒否又は妨害した場合 | |
○はそれぞれの罰金額以下、●は3億円以下の罰金(法32条柱書)となります。
| 罰則 | 両罰 | 主な違反行為 | |
|---|---|---|---|
| 5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はその併科 | ○ | 委託基準違反 | 許可を持たない者に委託した場合 |
| 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科 | ○ | 委託基準違反 | 処理の委託基準に違反して委託した場合(契約未締結、契約書の記載不備、保存義務違反など) |
| 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | ○ | 管理票義務違反 | 管理票を交付せずに委託した場合 |
| 6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金 | ○ | 事業場外保管届出違反 | 届出をせずに事業場外保管をした場合 |
| 30万円以下の罰金 | ○ | 処理責任者等設置義務違反 | 産業廃棄物処理施設を設置している事業場に処理責任者を設置しなかった場合 |
| 20万円以下の罰金 | - | 多量排出事業者計画提出・報告違反 | 多量排出事業者が処理計画及び報告を提出せず、又は虚偽の提出をした場合 |
| 罰則 | 両罰 | 主な違反行為 | |
|---|---|---|---|
| 5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はその併科 | ● | 無許可営業 | 許可を受けずに廃棄物の運搬又は処分を業として行った場合 |
| ○ | 施設無許可設置 | 許可を受けずに廃棄物の処理施設を設置した場合 | |
| 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科 | ○ | 再委託基準違反 | 再委託基準に違反して委託した場合 |
| 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | ○ | 管理票義務違反 | 管理票の交付を受けずに廃棄物の引渡しを受けた場合、写しを送付しなかった場合など |
| 6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金 | ○ | 処理困難通知義務違反 | 処理が困難になった場合に通知せず、又は虚偽の通知をした場合 |
| 30万円以下の罰金 | ○ | 帳簿備付け義務違反 | 帳簿を備えず、又は5年間保存しなかった場合 |
処理業者の場合、法人として廃棄物処理法違反で罰金刑が確定すると、欠格要件に該当し許可取り消しとなる可能性があります。
例1:耐火レンガの委託
最終処分埋立処分の委託先はガラス陶器くずの許可を有していましたが、金属くずの許可がなかったため、依頼元が書類送検されました。
例2:無許可業者への再委託
無許可業者に収集運搬を再委託したケースでは、無許可業者への委託に該当し、発注元が書類送検されました。
廃棄物処理業の業許可に関するものとして、以下の点に注意が必要です。
| 無許可営業 | 都道府県知事や市町村長から「廃棄物処理業」の許可を受けずに廃棄物処理業を営むこと |
| 無許可変更 | 廃棄物処理業の許可内容を都道府県知事や市町村長の許可を受けずに勝手に変更すること |
収集若しくは運搬または事業の範囲を変更しようとするときは、変更許可が必要です(法7条の2、第14条の2、第14条の5)。
直接罰と間接罰の違いを理解しておくことは重要です。
行政処分の指針については、環循規発第2104141号(R3.4.14)をご参照ください。
廃棄物処理に関する罰則規定は非常に厳格で、違反した場合には刑事罰だけでなく、行政処分や社会的制裁も受ける可能性があります。特に法人にとっては、最大3億円の罰金や許可取り消しといった深刻な影響が及びます。
法令遵守はもちろんのこと、委託先の選定やマニフェストの適正管理など、日常的な業務の中でコンプライアンスを徹底することが何より重要です。
参考情報