処理委託後の不適正処理リスク~排出事業者が知らずに巻き込まれる落とし穴~

2026.06.23
委託 不適正処理 措置命令 排出事業者責任

排出事業者は、自社で処理することを原則としていますが、自ら行うことができない場合には処理を委託することになります。しかし、委託先で不適正処理が行われた場合、排出事業者自身が大きな責任を問われる可能性があります。今回は、処理委託後の不適正処理に関するリスクについて詳しく解説します。

[図: 処理委託後の不適正処理のイメージ]

処理委託後の不適正処理と排出事業者の責任

支障の除去については、無過失責任が排出事業者に課せられます。つまり、排出事業者に過失がなくても、支障が生じた場合には除去等の措置を講じる責任が生じるということです。

委託に不備がある場合のリスク

不適正処理に巻き込まれた際、自治体からの協力要請に応じず、その委託にも不備が認められる場合、廃棄物の撤去やそれに伴う費用負担について措置命令が出されることがあります。

法第19条の5

生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は、必要な限度において、処分者等に対し、期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができます。

これは、委託基準違反やマニフェストの不適正な運用が原因となるケースが想定されています。

措置命令の対象となる者(法第19条の5)

1当該保管、収集運搬又は処分を行った者
2不適正な委託により当該収集、運搬又は処分が行われたときは、当該委託をした者
3マニフェストに係る義務について、以下のいずれかに該当する者
  • マニフェストを交付しなかった者
  • 法定記載事項を記載せず、又は虚偽の記載をしてマニフェストを交付した者
  • マニフェストの写しを送付しなかった者
  • 法定記載事項を記載せず、又は虚偽の記載をしてマニフェストの写しを送付した者
  • マニフェストを回収しなかった者
  • マニフェスト又はその写しを保存しなかった者
  • マニフェストの確認義務に違反し、適切な措置を講じなかった者
  • マニフェストの交付を受けずに産業廃棄物の引渡しを受けた者
41〜3に掲げる者が建設工事における下請人である場合は元請業者
5当該処分等をすることを要求、依頼、若しくは唆し、又は当該処分等をすることを助けた者

委託に不備がなくても伴うリスク

なんと、法令違反がなくても排出事業者等に支障の除去等の措置を講じることが命じられる場合があります。

法第19条の6

前条第一項に規定する場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、一定の条件に該当すると認められるときは、都道府県知事は、排出事業者等に対し、期限を定めて、支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができます。

つまり、法令違反がなくても過失が認められる場合には、排出事業者等にも措置命令が及ぶ可能性があるということです。

法第19条の6に基づく措置命令の条件

条項条件
法第19条の6第1号不適正処理の行為者のみでは支障の除去等の措置ができない、又は不十分であるとき
法第19条の6第2号排出事業者等が適正な対価を負担していないとき
不適正処理が行われることを知り、又は知ることができたとき
法第12条第7項等の規定の趣旨と照らして適当であるとき

法第12条第7項では、排出事業者責任として、事業者は産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定められています。

法第19条の6第2号の解釈については、R3.4.14「行政処分の指針について(通知)」環循規発第2104141号で詳しく示されています。

適正な対価を負担していないとき

地域ごとの一般的な価格を把握し、自社の委託費用がその価格の半分以下である場合が例示されています。あまりに安価な処理費用での委託は、リスクが高いと判断される可能性があります。

不適正処理が行われることを知ることができたとき

一般通常人の注意を払っていれば不適正処理が行われることを知り得たと認められる場合をいいます。具体的には、行政からの改善命令や地域住民との訴訟等のトラブルなど、不適正処理が行われる可能性があることを客観的に認められる状況が該当します。

処理業者への確認や施設の確認を行わない場合、また正当な理由を表示できない場合には、この要件に該当する可能性が高まります。

法第12条第7項等の規定の趣旨と照らして適当であるとき

排出事業者は、「処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない」とされています。

具体的には、処理業者の選定で複数見積もりを取っていない(地域の一般的な費用を把握するための措置を講じていない)、中間処理業者と最終処分業者の委託契約書を確認していないなどのケースが該当します。

リスクに該当する具体例

行政代執行

排出事業者が措置命令に従わない場合、最終的には行政代執行が行われる可能性があります。

千葉市の事例が参考になります(千葉市 行政代執行の事例)。

まとめ

処理委託後の不適正処理リスクは、委託に不備がある場合だけでなく、法令違反がなくても発生し得るという点が非常に重要です。排出事業者として、以下の点を徹底することが求められます。

参考情報