自動車リサイクル解体業の許可基準と実務手引き

2026.06.23
自動車リサイクル法解体業許可申請

今回は、自動車リサイクル法に基づく解体業について、許可基準から実務の流れまでを詳しく解説します。

解体業とは

解体業とは、使用済自動車又は解体自動車(他者により解体された後の残存物)の解体を行う事業を指します。

解体業者の実務(推奨手順)

1車を引き取り、車台番号を確認します。実車の装備と移動報告の装備情報が一致しているか確認します。法第15条、法第81条第7項
2移動報告担当者は、引取報告を行います(引き取ってから3日以内)。
3基準に従って解体します。法第16条第1項、第2項、規則第9条
4未作動のエアバッグ類(シートベルトプリテンショナーを含む)をすべて取外回収します。法第16条第3項
4'車上作動処理の契約がある事業所のみ、エアバッグ類の車上作動処理をします。
5取外回収したエアバッグ類を適正な状態にし、ケースに収納します。
6取外回収したエアバッグ類を指定引取場所に引き渡します。法第16条第3項、法第81条第8項
7移動報告担当者は、エアバッグ類の引渡報告をします。
8解体自動車を次の工程に引き渡します。法第16条第4項、法第81条第9項
9移動報告担当者は、エアバッグ類装備の有無を再確認し、解体自動車の引渡報告をします(引き渡してから3日以内)。

役割1から役割5までは120日以内に実施する必要があります。

事前回収品

解体業者は、使用済自動車の解体を実施する場合、以下の品目の適正な回収等を行う必要があります。

  1. タイヤ(スペアタイヤ含む)
  2. リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、バッテリー(鉛蓄電池)
  3. 廃油
  4. 廃液(ロングライフクーラント等)
  5. 大型バス等の室内照明用蛍光灯

産業廃棄物として処理をするときの注意点

  1. 収集運搬や処分を委託する事業者が産業廃棄物の許可業者であることを確認します。
  2. 上記の事業者と廃棄物処理法に基づく委託契約を締結します。
  3. 排出事業者として、産廃マニフェストを起票交付し、処理状況を適切に管理します。

解体について

解体とは「使用済自動車からエンジン等の主要な部品を分離すること」をいいます。ただし、カーステレオやカーナビ等の付属品を分離することは解体とはみなされません。

ハーフカット、ノーズカットの貨物については、フロン類、エアバッグ類、バッテリー、タイヤ、廃油、廃液、室内照明用の蛍光灯を取り外さないと法令違反となります。

許可の基準

施設に係る基準

使用済自動車を解体するまでの間保管するための施設

囲いの設置外部からの人の侵入防止
保管区域の明確化
廃油・廃液対策廃油・廃液漏出防止、外部流出防止、地下浸透防止

使用済自動車等を解体するための施設

燃料抜取場所安全・環境保全上の配慮として、地下浸透防止、外部流出防止、換気等の観点から屋外の場合も対応が必要です
解体作業場廃油及び廃液が適切かつ確実に回収できること、地下浸透を防止すること、油水分離装置及びこれに接続している排水溝を備えること、雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止することが求められます
取り外した部品を保管するための設備廃油及び廃液の漏出を防止し、地下浸透を防止し、雨水等による廃油及び廃液の事業所からの流出を防止する必要があります

解体自動車を保管するための施設

囲いの設置外部からの人の侵入防止
保管区域の明確化

解体業許可申請者の能力に係る基準

標準作業書

標準作業書を常備し、従事者に周知する必要があります。これにより、環境保全上及び資源の有効利用上必要な配慮を払い、解体業を的確に実施する能力を有することを判断します。

事業計画書又は収支見積書

事業の継続性を確認するために必要です。

欠格要件

法第62条第1項第2号イからヌのいずれにも該当しないことが求められます。

行為義務

  1. 使用済自動車の引取義務(法第15条)
  2. 再資源化実施義務(法第16条第1項、第2項)
  3. 指定回収物品の回収(法第16条第3項)
  4. 破砕業者等への引渡義務(法第16条第4項、第5項)
  5. 解体を行わない場合の引渡義務(法第16条第6項)
  6. 引取・引渡報告(法第81条第7項~第9項)
  7. 廃棄物処理法の特例(法第122条第8項)

再資源化基準

再資源化を行う時は「解体業者による使用済自動車の再資源化に関する基準」に従います。保管の方法については規則第9条第1項、解体の方法については規則第9条第2項~第4項に規定されています。

廃油・廃液の漏出対策

廃油、廃液の漏出のおそれのある使用済自動車の保管については、床面の鉄筋コンクリート舗装や油水分離装置の設置など、厳格な構造基準が定められています。詳細な基準については、管轄の保健福祉環境事務所にご確認ください。

エアバッグ類に関する義務

1指定回収物品(エアバッグ類)を回収し、自動車製造業者等に引き渡さなければなりません(法第16条第3項)
2自動車製造業者等に引渡す際は、引取基準に従わなければなりません(法第16条第3項)
3使用済自動車を引き取った後、120日以内にエアバッグ類の引渡しを行わなければなりません(施行規則第106条)
4エアバッグ類を引渡したとき、3日以内に引渡報告をしなければなりません(法第81条第8項、施行規則第90条)

まとめ

自動車リサイクル解体業は、使用済自動車から有用な部品を回収し再資源化を推進する重要な役割を担っています。許可申請に当たっては、施設基準や能力基準を満たすことはもちろん、標準作業書の整備や従事者への周知徹底が求められます。また、エアバッグ類やフロン類などの指定回収物品の適正な処理については、特に注意が必要です。

参考情報

経済産業省「解体業に係る許可基準等について」: https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/jidosha_wg/pdf/g30522b044j.pdf

本記事の内容は2026年6月時点の情報です。最新の手続きについては各自治体の窓口でご確認ください。