Scrap yard regulationsスクラップヤード規制

スクラップヤード環境対策技術検討会 詳細検討が始まる

学識経験者、自治体、および幅広い関係事業者団体で構成されたスクラップヤード環境対策技術検討会が、令和8年(2026年)6月19日に公布された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」の円滑な施行に向け、スクラップヤードにおける保管や再生に関する詳細な基準やガイドラインの検討を開始しました。第1回会合が令和8年7月27日に開催されています。
この検討会での成果は、今後整備される政省令や、実務上の手引書となるガイドラインに直接反映されるため、注視していく必要があります。

環境省 スクラップヤード環境対策技術検討会について

なぜ今、スクラップヤード規制が強化されるのか?

令和8年6月19日、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。この背景には、資源循環の要であるスクラップヤードの一部において、不適正な管理による環境汚染や火災が相次いでいる現状があります。


今回の規制強化には、実務上極めて重要な「公平な競争環境の整備」という視点が含まれています。 * 生活環境保全と不公正な競争の解消 騒音や火災対策を怠る不適正なヤードは、操業コストを低く抑えることで不当に高い買取価格を提示し、適正な対策を講じている事業者の経営を圧迫しています。新制度は、法を遵守する事業者が損をしない「公平な競争条件(イコールフィッティング)」を確保することを目的としています。
また、 資源の適正循環(サプライチェーン強靭化)を目的に、雑品スクラップや鉛蓄電池等の不透明な海外流出を抑制し、国内の再生資源供給網を強靭化することを目指します。

新制度の核心:「許可制」への移行と対象物品

新制度では、都道府県知事等の許可を得なければ事業を行えない「許可制」が導入されます。

対象物品の厳密な定義

法的には「使用済金属・プラスチック物品」が定義されますが、許可制の直接の対象となるのは、不適正な扱いにより健康や生活環境への被害が生じる恐れがある**「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」**(および保管を要する物品)です。 具体的には、以下の物品が検討会の中心議題となっています。
  • 混合スクラップ(いわゆる雑品スクラップ)
  • 使用済鉛蓄電池
  • リチウム蓄電池(リチウムイオン電池)を内包する物品
  • 家電4品目スクラップ

許可基準(案)

事業者は以下の基準()を満たす必要があります。
経理的・技術的基礎 事業を的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎および能力を有していること。
施設の適合性保管・再生の設備が、生活環境保全の観点から定められる基準に適合していること。
欠格事由への非該当申請者が拘禁刑に処された者等、法律で定める欠格要件に該当しないこと。

保管・再生基準(案)

検討会では、事業者が遵守すべき具体的な基準が整理されています。特に掲示板のサイズなど、自治体独自の厳しい基準が併存する可能性がある点に注意が必要です。
項目具体的な措置内容のイメージ基準の考え方・根拠
掲示板の設置保管品目、管理者、許可番号等を掲示。サイズは縦横60cm以上(※千葉県条例等、一部自治体では90cm以上を求める例があるため注意が必要)。 廃棄物処理法および既存のスクラップヤード条例
地下浸透・汚水流出防止油の漏洩や汚水浸透を防ぐため、コンクリート敷設、油水分離装置、排水溝を設置する。 水質汚濁防止法・土壌汚染対策
火災発生・延焼防止 鉛蓄電池やリチウム蓄電池等の火災リスク品を分別し、仕切りの設置や保管物同士の距離を確保する。有害使用済機器基準・消防連携
騒音・振動の防止 重機の稼働や積み下ろし時の騒音低減のため、低騒音型機材の使用や作業時間の配慮を行う。騒音規制法・振動規制法
飛散・流出の防止囲いの設置や、保管の高さ制限を設ける。 廃棄物処理法(保管基準)

「許可みなし」規定:既存業者への配慮

事務負担軽減のため、既に他の許認可を持つ事業者は、新制度の許可を得たとみなされます。ただし、「保管・再生基準」の遵守義務は免除されない点に注意してください。
  • 廃棄物処理業者(一般廃棄物・産業廃棄物の許可業者等)
  • 自動車リサイクル法の認定事業者(解体業者・破砕業者等)
  • 小型家電リサイクル法の認定事業者
  • 資源有効利用促進法に基づく「認定自主回収・再資源化事業者」
  • プラスチック資源循環法・再資源化事業等高度化法の認定事業者

輸出規制の厳格化:国内再生原則の導入

鉛蓄電池や廃電子基板など、バーゼル法の「特定有害廃棄物等」に該当する物品には「国内再生原則」が適用されます。これらを輸出する場合、環境大臣の確認が義務付けられ、以下の3要件をすべて満たす必要があります。
  • 1. 国内再生の困難性: 国内の設備・技術では適正な再生が困難であること。
  • 2. 国内資源循環への影響: 国内の適正な再生・保管能力の維持に支障を及ぼさないこと。
  • 3. 相手国の基準: 輸出先での再生・保管方法が、日本の国内基準を下回らないこと。

違反時のリスク:強化された罰則

新制度の実効性を担保するため、無許可営業や不適切な輸出には、廃棄物処理法と同等の極めて厳しい罰則が適用されます。
  • 無許可営業、許可の不正取得、無確認輸出(未遂・予備含む)
    最大5年の拘禁刑、または1,000万円以下の罰金(あるいはその併科)。
  • 法人に対する罰則 法人に対しては、さらに重い最大3億円以下の罰金が科されます。

今後のスケジュールと事業者の準備

検討会は今後、地方自治体や鉛精錬業者等の事業者団体へのヒアリングを継続し、実態に即した詳細な基準を策定します。
令和8年度内政省令の整備(具体的な許可基準や帳簿形式の確定)
法施行前 都道府県等による許可申請の受付・審査開始
令和10年(2028年)6月まで改正法の完全施行(公布から2年以内の政令指定日)
完全施行までの猶予期間を念頭に、自社の施設が設備等の基準をクリアできるか、早期の現状把握と投資計画の検討を開始することが大切です。

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